個人向け金融の新時代到来?AIが融資の審査を行うということ

2017年09月25日のニュースのこと。個人向けローンの融資にAIを使った審査プロセスが導入されるとプレスリリースされた。みずほ銀行とソフトバンクが合弁で出資し新規事業会社を設立するというのだ。以下がニュース記事である。

 

個人ローン、AIで審査=みずほ銀とソフトバンク

みずほ銀行とソフトバンクが共同出資したローン会社「J.Score」(ジェイスコア)は25日、人工知能(AI)で融資審査を行う個人向けローンの取り扱いを始めたと発表した。インターネット上で利用者に年収や家族構成、学歴など最大170項目程度を質問し、信用力を点数化して金利水準を決める。
AIを個人ローン分野で本格活用するのは国内初とみられる。みずほ銀の口座の出入金記録や、ソフトバンクの携帯電話料金の支払い履歴も参照し、審査の精度を上げる。年内には申し込みから最短30分で融資が可能になる見込み。
融資手続きはスマートフォンやパソコンで完結。店舗を持たないためコストを抑えられ、金利は年0.9~12.0%と一般的な消費者金融や銀行カードローンより低くなっている。貸金業法の規制対象に入るため、融資限度額は年収の3分の1となる。

出典: https://www.jiji.com/jc/article?k=2017092500942&g=eco

このニュースによれば、ソフトバンク向けの支払い履歴や、みずほ銀行の個人口座での取引の実情から個人の信用度を試算し、貸出の可否から、金利までを割り出すという。ALをりようするんだから、勝手にちゃちゃっと貸出審査をしてくれるのかと思いきや、最大で170項目もの質問に答える必要があるようだ。

おそらく、どのように答えるというプロセス自体がその個人の性格を割り出すため使われるのだろう。痴呆症テストや、IQテスト、性格テストなど、たくさんの項目質問にこたえさせ、類似した質問を別々のところでやらせて、同じ傾向の回答をするかどうかで、嘘をついているかどうかも割り出せる。

審査のプロセスが社会的なステータス(学歴や職歴など)よりも、より個人の特質、性格を重視して返済の可能性を判断しようとしているのだろう。誠実で勤勉で、借金を踏み倒さない人にとっては金利が下がる可能性が高いのでとてもありがたい話だ。

こういった性格分析によっての融資の信用調査は、実はアメリカで既に行われているようだ。いわゆるビッグデータを使った信用調査で、シリコンバレーで創業された、「ZestFinance」とう会社がすでに行っている。この会社を立ち上げたのは、元グーグルの創業メンバーのDouglas Merrill で、彼は膨大なデータと、そこなら意味を見出すデーターマイニングが得意だった。ある日、彼は自分の叔母が短期的にお金がたりなくて支払いに困っているが、だれも融資を引き受けてくれない旨を知り、個人向け融資の世界に興味を持ったらしい。詳しくは下記の記事を読んでほしい(ただし英語です)。

Big Data Underwriting for Payday Loans – Bits – The New York Times

https://bits.blogs.nytimes.com/2015/01/19/big-data-underwriting-for-payday-loans/?mcubz=0
2015/01/19 – ZestFinance, a practitioner of big data underwriting, says it can reduce the risk of default on payday loans by 40 percent or more.

ビッグデータを使うことで、画一的な審査基準から、より立体的で実際的な、個人の傾向をわりだし、この傾向によって融資の審査プロセスの精度をより高めるために活用するという。例えば同じ大学を出ていても、浪費家で不誠実な人もいれば、堅実で実直な人もいるだろう。学歴だけではある程度の傾向はつかめても、あまりにも大味すぎるというのだ。例えばツイッターでどのような言語を使ってつぶやいているかなどによっても、個人の性格を割り出すヒントになるようだ。

データが大量に揃うことで、そこから一見すると全く関連ないようなものが、実はある種の傾向や意味合いを持ってくることがあるようなのだ。もちろん、時代のトレンドによって左右される可能性があるので、この意味解釈を常時更新する必要があるが、少なくとも、学歴や職歴だけで審査を行っているより精度があがれば、より多くの人が必要な資金を必要なタイミング、必要な頻度で調達できるようになるというのだ。

例えば株式市場が未発達な社会においては、資金調達が潤滑に行われず、企業がイノベーションを生み出す機会が阻害される可能性が高く、社会にとっと大きなマイナスであるといえる。例えば、住宅ローンの制度が整備されていなかったとしたら、多くの人々のライフプラインに悪い影響を及ぼし、QOL(生活の質)を左右しかねない。それと同様に、個人向けの短期(場合によっては長期になるが)のローンの資金調達の方法が未発達のままでは、個人個人の人生設計に影響を及ぼし兼ねない。多くの人にとって、金利を払ってでもお金を調達し、使うべきタイミングが訪れるだろう。例えば、資格試験の準備や、留学、大切な人とのデートなど。

AIを活用した貸出審査が今後主要なトレンドとなるかどうかはわかないが、実は既存の消費者金融業者は膨大なデータを蓄積してきていると言われている。プロミス、アコム、モビットなど、これらの事業は主要な銀行の大切な収益にもなっていると言われており、ニーズが多くあること、そして、貸出をする業者側も美味しい事業だと認識していることはまちがいない。

既存の消費者金融業者たちは、レンディングのプロセスはいたって簡単であると言われてる。主にチェックする項目は

  • 既に他社から借り入れをしているか?
  • 返済するための定期的な収入があるか

の2つである。どのような雇用形態で仕事をし、どれぐらいの収入を得ているか。また、すでに他社から借金があるかどうか。これは住宅ローンや、車ローンも含まれる。住所を書き込めば、おおよその家賃も想像がつくだろう。

既存のローン会社業者たちは、膨大な過去の貸出事案から、どのような場合に貸し倒れたか、どのような場合に返済が遅れたか、をデータとして分析し、リスクを管理し、銀行から資金を調達し、そことの金利差でどれだけ利益が出せるかを割り出し、融資の実行の有無を決定するのだ。

下記は消費者金融業者が一覧されているサイトである。ここのサイトの情報によれば、どこの貸出業者も金利や、審査プロセスにかかる時間に大差はみられない。

消費者金融おすすめ比較ランキング@初めての借入、即日融資、WEB完結 …

http://消費者金融のおすすめ.com/
大手から中小消費者金融まですべてを徹底比較。最短1時間融資、夕方や土日の即日融資、収入証明不要、内緒で借りる消費者金融など、知っておきたい情報が必ず見つかる!

ではどうやって、消費者は業者選びをおこなっているのだろうか。アコムやプロミスは事業報告書において、その貸出申し込み件数や、実際の審査通過率を発表しているが、季節によって申し込み件数や審査通過率、そして実際の貸出実行件数にばらつきが見られる(審査を通過しても、お金を引き出さないお客もいるようだ)。

個人向けローン業者から融資を受けたがる個人は、多くの場合、スピーディーに資金を必要としている場合が多い。よって、悠長に審査を長引かせると、その潜在的な顧客は他社へと流れてしまうだろう。よって、スピーディーな審査を期待しており、よって、そのニーズを汲み取り、貸出する業者側もネットのみで完結する審査を行っているところが多いようだ。

また、実際に、属性が悪いと思われている個人だが、返済能力があり、融資するに値する個人も居るはずだ。しかし、多くの場合、上記のスピーディーな審査では大鉈を振るわれるがごとく、そのような個人は融資の対象外となる場合が多いようだ。よって、そのような個人は、今回ソフトバンクとみずほ銀行が合弁で設立したAIをつかった審査をおこなうローン会社のような第三極と言えるような融資会社から融資を受けることを期待するしかない。